日本酒の造り方(6)火入れ、そして貯蔵

火入れ(一回目)

搾りたての原酒は、まだ糖化酵素やタンパク質分解酵素やわずかながら酵母も残っていて、貯蔵しているうちに酒質が変わる可能性がありますので、殺菌と酵素の活性を止める必要があります。そのために行われるのが「火入れ」という作業です。

日本酒を62~68℃のお湯に浸けることによって微生物の殺菌や残った酵素を破壊することができます。火入れは、瓶詰めしてから行う場合と、タンクのままで行う場合があります。

この火入れを行わないものを「生酒」、瓶詰め前に一度だけ行うものを「生貯蔵酒」、貯蔵前に一度だけ行うものを「生詰め酒」といいます。

ちなみにこの「火入れ」は、フランスの微生物学者パスツールによって発見され、「低温殺菌法」として酒造りに限らず、あらゆる食品加工に応用されるようになりました。しかし、それよりも何百年も以前の江戸時代初期には、日本酒造りの技法として確立されていました。

 

 

 

貯蔵

一般的に出来上がったばかりの日本酒は、荒々しさが残るため、出荷までタンクの中で一夏を過ごし、酒質を整えてから秋に出荷されます。

日本酒に限らず搾りたて、出来上がったばかりの酒は角が立ってとげとげしいものです。それが数ヶ月間寝かせることにより熟成が進み、角が取れまるみを帯びて味が整い、日本酒本来の旨味や切れ味があらわれるようになります。

なぜこのようなことが起こるのか、熟成の原理は今なお分かってはいません。最近では熟成の場所にこだわる蔵も多く、土蔵や洞窟、廃坑になった炭坑や海底坑道、さらには海中貯蔵などを行うこともあります。

大切なのは、年間を通じて温度変化がなく、紫外線などが入らないところということです。日本酒は急激な温度変化や直射日光に敏感に反応し、味わいに直接影響を及ぼしてしまうからです。

 

 

 

加水(割り水)・火入れ(二回目)

火入れ後、新酒はひと夏を蔵で過ごし、秋以降に順次出荷されます。ただし原酒のままでは、アルコール度数が20度前後と高いため、仕込み用の水を加え(加水用に違う水を使う蔵もある)、度数と味のバランスを調整します。

その後、殺菌のための火入れを再び行い、熱いまま瓶詰めし冷却して打栓、ラベルが貼られることによって出荷の準備は整います。