焼酎のこと

糖質オフの和製スピリッツ

お酒を、製造方法の違いで大きく分類すると「醸造酒」と「蒸留酒」に分けられます。蒸留酒とは米や麦、ブドウといった原料をアルコール発酵させたものが醸造酒で日本酒やビール、ワインなどがこれに当たります。それに対し蒸留酒は、同じく原料をアルコール発酵させたのちに、「蒸留」という工程を経て造られたものでウイスキーやブランデー、焼酎なども当たります。

世界的にみると蒸留酒一般をスピリッツといい、ウイスキーやブランデー、それに焼酎も含まれます。しかし、日本の酒税法では「スピリッツ」と「原料用アルコール」という項目に分類しています。「スピリッツ」とはウイスキーやブランデー、焼酎を除く他の蒸留酒を指し、具体的にはアルコール度45%未満エキス分2%未満の酒類、具体的にはジンやラム、ウォッカ、テキーラなどをいいます。そしてアルコール度45%以上の蒸留酒を「原料アルコール」とし、この2つを合わせて「スピリッツ類」と規定しています。

蒸留とは?

水の沸点が100℃に対してアルコールの沸点は78.3℃。これを熱すると液体の上昇とともに先にアルコールが蒸発する。これを集めて冷却し、液体に戻したのが蒸留酒です。水分を取り除きアルコールだけを集めるので度数が高くなるわけです。

よく「焼酎は、糖質オフなので体のことを考え飲んでいる」、と言われる方がいらっしゃいますが、これは本当のことで、なぜ糖質ゼロなのかというとこの‟蒸留”という工程を経るからです。蒸留とは醪を加熱、沸騰させ、蒸発した成分を冷却するわけですから、その中身は主にアルコール、水分、香気成分といった成分で、気化できない糖質(=炭水化物)は含まれません。それは芋、麦、米、黒糖といった原料を問いません。

だから、いくら飲んでもでも太らないのかというと、そうばかりとはいえません。アルコールは「エンプティカロリー」で、カロリーは高いが((1g当り:アルコール約7kcal、炭水化物約4kcal、タンパク質約4kcal、脂肪約9kcal)優先的に消費され、体には蓄えられないといわれます。それはそれで本当なのですが、優先的にアルコールが消費されるまでの間は、ツマミなどから摂取したカロリーの消費は後回しになり、結果的に脂肪分となって体に蓄積されてゆきます。

ならばツマミ抜きであれば大丈夫なのかというと、これはこれでとてもお勧めできる飲み方とはいえません。それはアルコールの分解過程で、肝臓での中性脂肪の合成が促され、脂肪肝といった他のデメリットの要因となるからです。『お酒は楽しく適量を』というのが本当のところといえるでしょう。

なぜ蒸留酒をスピリッツというのか?

スピリッツの単数形はスピリット、魂とか精神という意味です。これは酒の「魂を蒸留操作で取り出した「酒の中の酒」という意味があるからです。

 

 

 

連続式蒸留焼酎(旧・甲類)・単式蒸留焼酎(旧・乙類)の違い

焼酎と一口にいっても、酒税法上の分類によって2つに分けられます。連続式蒸留機で蒸留し、アルコール度数36%未満のものを連続式蒸留焼酎(旧・甲類焼酎)、単式蒸留器で蒸留しアルコール度数45%以下のものを単式蒸留焼酎(旧・乙類焼酎)といいます(2006年5月1日酒税法改正により甲類・乙類という呼称から変更となりました)。

「あれっ、甲類、乙類って今は言わないの?」と思われるかも知れませんが、これはあくまで税法上の分類です。名称が変わるだけで、中味は以前と同じものです。かつては新式焼酎(=甲類=連続式蒸留焼酎=ホワイトリカー)、旧式焼酎(=乙類=単式蒸留焼酎=本格焼酎)などといっていた時代もありました。

何故このようなことが起きるかというと、例えば焼酎に関して余り知識がない消費者が、新式蒸留・旧式蒸留という記載をされたら、新しい方式の方が良い焼酎なのではと感じてしまいます。甲類・乙類の例でいえば、まるで焼酎の格付けのように受け取られかねません。

改正のたびごとに業界から紛らわしいという意見が相次ぎ、呼び方が変わるという事態となりました。消費者にしてみれば「甲類焼酎」と「本格焼酎」という名称で統一するのが、最も妥当ではないかと感じます。

 

 

連続式蒸留焼酎(旧・甲類)

一般的に糖蜜等を原料として発酵させて仕込んだアルコールを含む原液を、何度も蒸留を繰り返すことによってアルコール度数を高め、最終的には無味無臭、高純度のアルコールを生成し、加水することによりアルコール度数36%未満にしたものをいいます。

蒸溜を繰り返すことにより、アルコール純度は高くなる反面原料が本来持つ風味や味覚の個性は消えてしまいます。低コストで大量生産が可能なため、大手メーカーがこぞって量産し販売シュアは高くなっています。

焼酎そのものの特徴が余りないため、加工が容易でチューハイなどのベースや、リキュールの材料、或いはカクテル作りの際に用いられたりします。

また、ジン・ウォッカなどの代用品として使用されることもあり、梅酒などの果実酒づくりにも用いられる。税法上では「連続式蒸留焼酎」表記の代わりに「ホワイトリカー」と表記することも認められています。

甲類の範囲にてブレンド、熟成、蒸留回数、蒸留機(香りを残すように改良したもの)、加水種類、原料等で変化(混ぜ合わせたりする)をつけることによって、ある程度の特徴的な風味を持つものも存在しますが、連続式蒸留焼酎(旧・甲類)の場合、特徴がないのが最大の特徴といえます。連続蒸留機は1975年から焼酎製造に導入されたのですが、その飲みやすさやアレンジのしやすさなども手伝って、焼酎ブームのきっかけともなりました。

 

 

単式蒸留焼酎(旧・乙類焼酎)

それに対して単式蒸留焼酎(旧・乙類焼酎)は、米、麦、芋などを原料として単式蒸留器で蒸留した焼酎をいいます。単式の名の通り、基本的には1回のみの蒸留のため、原料本来の風味や旨み成分が残っていることが最大の特徴です。酒税法上の定義では「アルコール含有物を連続蒸留機以外の蒸留機で蒸留したものでアルコール分が45度未満のもの」とされています。

連続式蒸留焼酎と単式蒸留焼酎の違いはこのように製法によるので、単式蒸留焼酎は原料そのものの風味を味わうことができ、連続式蒸留焼酎は低コストでの大量生産に適します。

しかし、一般の消費者がそんな事情を知っているとは限りません。そのために風味豊かな、伝統的な単式蒸留器で造られた焼酎を『本格焼酎』と表示できるようにした訳です。酒税法で「甲類・乙類」の分類呼称が定められたのは1949(昭和24)年。日本酒は当時税法上の関係で特級酒、1級酒、2級酒などの分類が行われていたため、焼酎の「甲・乙」もそれと同じと誤解されかねない。これを危惧した江夏順吉(当時・霧島酒造社長)が1957年に九州旧式焼酎協議会において「本格焼酎」という呼称を提唱しました。

しかし、なかなか国の重い腰は動かず、認められたのは14年後の1971(昭和46年)のことでした。「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律施行規則」(昭和28年大蔵省令第11号)が一部改正され「本格しようちゆう」と呼称・表記することが可能となりました。

しかし、「本格焼酎」の呼称を用いる基準が必ずしも明確でなかったことから議論が生じ、その結果2002年11月1日に前述の省令の一部改正により基準が強化され、以下に掲げるアルコール含有物を蒸留したものでなければ本格焼酎と名乗ることはできなくなりました。なお、単に「焼酎乙類」「単式蒸留焼酎」と表示するのであれば材料は制約されません。

穀類又はいも類、これらの麹及び水を原料として発酵させたもの。

穀類のこうじ及び水を原料として発酵させたもの。

清酒かす及び水を原料として発酵させたもの、清酒かす、米、米こうじ及び水を原料として発酵させたもの又は清酒かす。

砂糖(政令に掲げるものに限る)、米こうじ及び水を原料として発酵させたもの(黒糖焼酎)。

穀類又はいも類、これらのこうじ、水及び国税庁長官の指定する物品を原料として発酵させたもの。

(その原料中国税庁長官の指定する物品の重量の合計が穀類及びいも類及びこれらのこうじの重量を超えないものに限る)

 

 

風味豊かな本格派・単式蒸留焼酎

原料の味わいや風味を残す単式蒸留器には、2種類の製造法があります。常圧蒸留と減圧蒸留です。

常圧蒸留は普通の気圧の中で90~100℃で沸騰させます。高温のため焦げる臭い(フルフラール)があり、そのために香味成分が濃厚で個性的な焼酎となります。

一方の減圧蒸留は、蒸留機の中を真空にして圧力を通常の半分程に下げます。すると沸点が下がって、50℃くらいでも蒸留することができるようになります。沸点が低いため、すっきりさわやかな香味が残り雑味成分が少ない焼酎になり、原料の特性が生きた非常に飲みやすい焼酎になります。主に、米、麦、蕎麦など、穀類を原料とする焼酎を造る際に使われます。