ジンのこと(3)

造り方と楽しみ方

5.ジンの造り方

ジンの原料は大麦麦芽やライ麦、トウモロコシなど。これらを糖化・発酵させたもろみを蒸留するが、この過程でジンの最大の特徴ともいえる香味が加えられる。この香味をどのように加えるかは製造される地域によって異なり、ジュニパーベリーといった香味のもととなる原料を最初から原料に混ぜる方法、発酵したもろみに直接加えて蒸留する製法、さらに蒸留し気化状態のアルコールを、香味原料が入った器に通す方法などさまざまである。蒸留方法もオランダでは単式蒸留噐を使い、その他の地域では連続蒸留機を使うのが一般的である。また、蒸留を2度行うものもあります。

ここでは代表的なスタイルである、ロンドン・ドライ・ジン(オールド・トム・ジン、プリマス・ジンもほぼ同じ製法)、ジュネヴァ・ジン、シュタインヘーガーを例にとって製造工程の違いを比べてみましょう。

 

 

■ロンドン・ドライ・ジンの製造工程(オールド・トム・ジン、プリマス・ジン)

Stage1-原料

3種とも、主に原料に使用されるのは小麦やトウモロコシ、大麦麦芽などの穀物ですが、ライ麦やジャガイモなども使われます。その理由は、後から加えられる香味成分の風味にあまり影響を与えないからです。しかし、最近ではあえて米やブドウなどを使って、原材料の持ち味を生かしたジンも造られている。

Stage2-糖化・発酵

原料を破砕し湯に浸し、デンプン質を糖化させる。そこに酵母を加え発酵させてもろみを造ります。

Stage3-蒸溜(1回目)

連続式蒸留器を使って95%以上のグレーン・スピリッツ(ニュートラル・スピリッツ)を造ります(最近は、グレーン・スピリッツを自社で製造しているメーカーは少なく、ほとんどを専門業者から仕入れてジン製造を行っているようです)。

Stage4-香味付け&蒸留(2回目)

このグレーン・スピリッツに、ジュニパー・ベリーなど草根木皮の香味成分を加えて再び蒸留するのですが、その方法は2通りあります。ひとつは、直接スピリッツに加えて単式蒸留器でゆっくり再蒸留する方法(スティーピング方式=浸漬法)。もうひとつが単式蒸留器上部にジン・ヘッドと呼ばれる円筒を取りつけ、そのなかに香味成分となる草根木皮を詰めて再蒸留し、上がってくるスピリッツの蒸気と一緒にエキスも抽出する方法(ヴェイパーインフュージョン方式=バスケット法)で、雑味成分の少ないピュアなジンになるといわれています。香り付けに共通して使われるのジュニパー・ベリー、そのの他にもコリアンダー、アンジェリカ、オリスなどの根、レモン、オレンジの果皮、シナモンの樹皮などの草根木皮が使われますが、メーカーによって極秘扱いとなっていて公表されていません。オールド・トム・ジンはさらに甘味を加えます。

Stage5-完成

加水してアルコール度を調整したり香味バランス、味わいを微調整して瓶詰めされます。ロンドン・ドライ・ジンは、基本的に熟成することなく出荷されます。

 

 

■ジュネヴァ・ジンの製造工程

Stage1-原料

原料はロンドン・ドライ・ジンとほぼ同じだが、大麦麦芽の比率が高く単式蒸留器を使うため麦芽香が残った仕上がりとなる。

Stage2-糖化・発酵

原料をいっしょに混合し糖化・発酵させる。

Stage3-蒸留(1回目)

単式蒸留器で2~3回蒸留。

Stage4-香味付け&蒸溜(2回目)

出来上がった蒸留液にジュニパー・ベリーなどの草根木皮を加え再度蒸留します。単式蒸留器を使うことで、香味が濃厚でコクのあるスピリッツとなる。

Stage5-熟成

単式蒸留器で蒸留したスピリッツは、連続蒸留機で蒸留したものに比べ味わいが重すぎるため、味わいを落ち着かせるために短期間貯蔵・熟成させる場合がある。

Stage6-完成

加水しアルコールを45度前後に調整して瓶詰め出荷。

 

 

■シュタインヘーガーの製造工程

Stage1-原料

元になるスピリッツの原料は同じだが、後で加える香味づけ用の生のジュニパー・ベリーが必要となる。

Stage2-糖化・発酵

原料を糖化させ、酵母を加え発酵させもろみを造ります。

Stage3-蒸留(1回目2種類のスピリッツ)

連続式蒸留機でグレーン・スピリッツを造る。その他に、単式蒸留器でジュニパー・ベリー・スピリッツを造る(生のジュニパー・ベリーは、糖質が20%ほど含有されているので、これを発酵させ蒸留したスピリッツ)。

Stage4-ブレンド

シュタインヘーガー独特の製法で、③で造ったグレーン・スピリッツとジュニパー・ベリー・スピリッツをブレンドする。

Stage5-蒸留(2回目)

もう一度単式蒸留器で蒸留する。

Stage6-完成

加水し、アルコール度数を調整して瓶詰めする。

 

 

6.ジンの楽しみ方

ジンというと、マティーニやベルモット、ジンフィズやジントニックといったカクテルが馴染み深いが、ストレートかロックがおすすめなのが、香味豊かなジュネヴァ・ジン。ストレートの場合も冷やして飲むポピュラーなスタイル。麦芽など原料から来る香味が強いので、酒本来の味を楽しめる。

カクテルにおすすめなのは、ロンドン・ドライ・ジン。ストレートだと少々きついので、好みに応じてソフトドリンクなどで割るのがおすすめ。

この中間的にあたるのがシュタインヘーガー。ストレートでもソフトドリンク割りでも、飲み方を問わず楽しめる、オールマイティな飲み方が楽しめるジンといえる。