モルトウイスキーの造り方(4)蒸留・原酒をつくる

ポットスチルで蒸留、原酒を抽出

蒸留とは、米とアルコールの沸点の差(水:100℃、アルコール:78.3℃)を利用し、発酵が終了したウォッシュを加熱することで、先に気化したアルコールと香気成分を冷却し液体として取り出すことです。水を取り除きアルコール分を抽出するので、液体のアルコール濃度は高くなります(モロミのアルコール度数は約6~7%程度)。またウォッシュに含まれる香味成分は、蒸留器内で加熱されることにより化学変化を起こし、新しい香味も生まれより複雑になります。

蒸留にはポットスチルといわれる銅製の単式蒸留器が使われます。ポットスチルは全て手づくりで、形や大きさはさまざまです。その形や大きさの違いによって、抽出される原酒の香味やボディなどの酒質に影響を与えます。

モルト・ウィスキーの個性を決めるうえで、ポットスチルをどのようなものにするかの選択は、極めて重要な要素となる訳です。

ちなみにポットスチルがなぜ銅製であるかといえば、銅にはモロミを熱することで生まれる不快な風味や硫黄化合物を取り除く性質があるからです。

蒸留は基本的に2回行われます。1回目に蒸留を行うポットスチルをウォッシュスチル(初留釜)、2回目に行うポットスチルはスピリッツスチル(再留釜)といいます。

 

1回目の蒸留でアルコールは約3倍に凝縮され約20度まで上昇しますが、2回目の蒸留でアルコール度数は約70度にまでなります。2回の蒸留を行うのはアルコール度数を高めることは勿論ですが、初留だけでは雑味成分が多く含まれ、それらを取り除くために再留が必要となるのです。なかには、よりクリアな酒質を求め3回繰り返す蒸留所もあります。

再留されることにより取り出された原酒は、すべて熟成に回されるわけではなく、スピリッツセーフを操作することで最初の部分(フォアショッツ)と最後の部分(フェインツ)がカットされ、香味成分をバランスよく含んだ真ん中の部分(ミドルカット)だけが使われます。フォアショッツとフェインツは再びスチルに取り込まれローワイン(初留液)とともに再度蒸留されます。

こうして抽出された原酒はニューポットと呼ばれ、この段階では無色透明で荒々しさが残る液体で、まだウイスキーと呼べるものではありません。

 

 

 

ポットスチルのいろいろ

ポットスチル(蒸留器)は、モロミからアルコールを気化させて、再び液体に戻す器具のことをいいます。その形や大きさにより、出来上がった原酒に違いが生じるため、どのようなウイスキーを造りたいかによってその選択も違ってきます。

蒸留釜に投じられたモロミが加熱され、気化したアルコールと香味成分が冷却管に到達するまで、どのように動くかがポイントとなります。例えば上昇した蒸気がそのまま冷却されると、それまでの過程で得た成分を失うことが少なく、多彩な風味が残った複雑な味わいの原酒になりやすい。

逆にネックの部分に膨らみを持たせたり、すぼませたりすることで蒸気の流れは複雑になります。一度立ち上った蒸気が再び蒸留釜に戻り、香味成分とともにまた上昇する。それを繰り返すうちにアルコール分が濃縮され、ピュアで洗練された味わいとなります。

このほかにも、加熱方法によっても酒質は変化し、一般的に直火なら香ばしく、間接加熱方式ならすっきりとした酒質に仕上がります。