モルトウイスキーの造り方(5)熟成・オーク樽に詰め貯蔵

熟成という長い眠り

こうしてできたニューポットは、まだ荒々しく刺激の強い無色透明の原酒にすぎません。これをオーク樽に詰め、貯蔵庫で5年、10年、15年という長い眠りにつかせることにより、味や風味がまろやかなウイスキーと変わってゆきます。

蒸留したての原酒のアルコール度数は約70度。これに蒸留所の仕込み水を加え、63度前後に調整してから原酒は樽に詰められます。なぜアルコール度数を下げるかというと、63度前後が、樽熟成に最も適しているからです。

 

 

 

ウイスキーの貯蔵・熟成

樽材にはオーク(ナラ)が使われます。ただしオークであれば何でもよいという訳ではなく、アメリカ産のホワイトオークか、ヨーロッパ産のコモンオーク、それも樹齢100年以上の上質なものが選ばれます。

特にウイスキーの熟成に用いられる代表的なのものが北米産のホワイトオーク。強度、耐久性に優れ、液体が漏れにくいといった特性を持っています。リグニン、タンニンなどの成分が豊富で、熟成とともにウイスキーに香味を与えてくれます。

一方のコモンオークは、重くて硬く、弾性や耐久性に優れ、ワインやコニャックなどの熟成樽の材料として用いられてきました。北米産ホワイトオークよりポリフェノールやタンニン成分が多いとされています。

 

 

 

熟成樽いろいろ

バレル

最大径/約69cm 長さ/約91cm 容量/約180リットル

新樽はバーボンに使用し、その空き樽がモルトの熟成に使われることが多い。容量が小さいため、熟成がはやく、古樽は上品な木香を生み出す。

ホッグスヘッド

最大径/約75cm 長さ/約89cm 容量/約230リットル

樽の重量がだいたい豚(ホッグ)1頭分と同じ程度ということから、この名が付けられた。樽材は北米産のホワイトオークで、バレルの古樽を組み替えてつくられる。華やかな木香とバニラ香を生み出す。

パンチョン

最大径/約96cm 長さ/約109cm 容量/約480リットル

ずんぐりとした形の樽で容量も大きい。長期熟成向きで、本来はラム酒用に使われていた。容量が大きいため木香がそれほどきつくなく、すっきりとした味わいに仕上がる。

シェリーパッド

最大径/約89cm 長さ/約128cm 容量/480リットル

シェリーの貯蔵熟成用につくらたもので、その空き樽を使っている。モルト・ウイスキーを貯蔵すると、シェリー酒の香りやほのかな甘みが移り、深い赤に仕上がる。

 

高い強度の樽材でも天然木である以上、暑い夏場には膨張し、寒い冬場にはより硬く縮まるようになります。

詰められたウイスキーは、木材の継ぎ目や繊維のわずかな隙間からわずかずつ蒸発し、水分とともに硫黄化合物が蒸散されます。それとは逆に外気が取り込まれ、樽内のウイスキーは参加熟成しはじめ、樽材から溶け出した香味成分や、アルコールと脂肪酸がエステル化し、独特の香りが生まれます。

長い時間をかけ、アルコールの分子に水の分子が入り込み、徐々に荒々しかった液体はまろやかな口当たりのウイスキーへと変わってゆきます。モルト・ウイスキーは、このように呼吸しながらゆっくりと熟成してゆくので、空気がきれいで適度の湿気がある、冷涼なところが適所とされています。蒸散により液量は年に2~3%失われてゆきます。この減少する液量を造り手たちは”エンジェル・シュア”と呼んでいます。