アメリカンウイスキーのこと

トウモロコシを原料とするウイスキー

現在のアメリカン・ウイスキーは、1964年制定の連邦アルコール法で明確に規定されています。この中で主要なものは以下の4つ、バーボン・ウイスキー、ライ・ウイスキー、コーン・ウイスキー、ブレンデッド・ウイスキーとなります。

バーボン・ウイスキー

原料に51%以上のトウモロコシを使い、アルコール度80度未満で蒸留し、熟成には内側を焦がした新しいホワイトオークの新樽を使用する。2年以上の熟成をしたものは、ストレート・バーボン・ウイスキー。

 

ライ・ウイスキー

原料に51%以上のライ麦を使い、アルコール度80度未満で蒸留し、熟成には内側を焦がした新しいホワイトオークの新樽を使用する。2年以上の熟成をしたものは、ストレート・ライ・ウイスキー。

 

コーン・ウイスキー

原料に80%以上のトウモロコシを使い、アルコール度数80%未満で蒸留。熟成する場合は、内側を焦がしたオークの古樽、または内側を焦がしていない新しいホワイトオーク樽を使用。熟成させなくてもよい。2年以上熟成したものは、ストレート・コーン・ウイスキー。

 

ブレンデッド・ウイスキー

バーボン、ライ、コーンなどのストレートウイスキーをアルコール度数50度に換算して20%以上使い、残りをその他のウイスキーやスピリッツなどでブレンドしたもの。

 

それでもまず、アメリカン・ウイスキーといえば思い浮かぶのはバーボン・ウイスキーです。バーボンは、トウモロコシを主体として、ライ麦(または小麦)、大麦麦芽を原料として、連続式蒸留機で蒸留され、必ず内側を焦がしたオークの新樽を使って熟成されるウイスキーです。

スコッチとはまた違う、独特の香ばしさや、深いコクと甘さがあり、力強い味わいを持っています。バーボンの基本的な製造工程は、①糖化、②発酵、③蒸留、④熟成となりますが、それ自体はスコッチと何ら変わりません。では何故、スコッチとは違うあの独特の風味が生み出せるのかといえば、やはりそこにはバーボン特有の製法があるからです。

原料となる穀物は、基本的にトウモロコシとライ麦、大麦麦芽の3種類です。この3つの比率がマッシュビルと呼ばれ、非常に大切な要素となっています。一般的には、トウモロコシが60~70%、トウモロコシの比率が高くなれば甘くまろやかな味わいに、ライ麦が多ければスパイシーでドライな味わいになるといわれています。ライ麦のかわりに小麦が使われる場合もあって、小麦はよりマイルドなテイストとなります。

糖化や発酵の段階でバーボン特有の製法のひとつに「サワーマッシュ方式」があります。前回蒸溜した際に生じた蒸留残液の上澄みを糖化槽と発酵槽に25%ぐらい戻す方法で、このことによって糖化及び発酵環境がよくなり、複雑な風味と香味が増すといわれています。

蒸溜に関していえば、連続式蒸留機によってアルコール度80度未満の蒸留が法律によって定められています。しかし実際は、60~70度くらいが多く、スコッチのグレーン・ウイスキーの94%ぐらいと比較しても明らかに低くなっています。このことにより香味成分が多く残り、バーボンの力強いフレーバーのもとになります。

熟成に関しても法律で厳しく定められており、必ず内側を焦がしたオークの新樽を使わなければなりません。これもまた、バーボン特有の力強い風味を生むことになります。樽に使われる木材は、アメリカン・ホワイトオークで、ケンタッキーではオークの林が多くあって、バーボンをつくるには非常に恵まれた環境にありました。熟成庫はオープンリック方式と呼ばれる、木組みの棚で、窓を大きく開け放ち、自然の風を取り入れる構造が多くなっています。ケンタッキーの気候は、夏は30度を超え、冬はマイナス20度くらいになり非常に寒暖差が大きく、バーボンはその環境で熟成されます。スコッチに比べバーボンの熟成が速いのも、このような樽や熟成の方法の違いにもよります。