
日本固有の交配品種を使った口当たりの良い赤ワインの逸品
日本有数の豪雪地帯で、川上善兵衛(※)が交配品種「マスカット・ベーリーA」を発表したのが1927(昭和2)年。ベーリー種にマスカット・ハンブルグ種を交配した品種で、色鮮やかで濃厚なフルーツフレーバーが特徴。
スムーズで軽やかな味わいのワインになるが、発酵の仕方によっては重厚な腰の強いワインともなる。明治の頃に、新潟でワインを造ろうとした人がいるということも驚きだが、そのマスカット・ベーリーAを生み出した川上善兵衛が設立したのが「岩の原葡萄園」である。
『岩の原ワイン・マスカット・ベーリーA』は、しっかりとした骨格を保ち、快い渋味とやわらかな口当たりが心地よいワインとなっている。2009年国産ワインコンクール金賞受賞の逸品。
川上善兵衛の功績
川上善兵衛が日本のワイン産業にもたらした功績は大きく、その最大のものは膨大なブドウ品種を研究交配して、日本の気候風土に合ったワイン用ブドウを育成したことである。
岩の原葡萄園を開設してから30年の間に、川上が試験的に植えたブドウ品種は500種類以上にも及ぶといわれる。そのデータをもとに、大正11(1921)年から交配の研究に没頭した。
新たに生まれた株は、収穫、醸造、貯蔵して実際に飲んでみて味を確かめた。ブドウは株を植えても収穫するまで少なくとも4~5年、ワインに仕込んで1年、貯蔵、熟成にも最低3年を要する。
膨大な時間と経費をかけながらも、川上はそれを繰り返した。研究に着手して11年目の昭和7(1932)年に、その成果をまとめた「葡萄全書」を出版するにいたった。
(※)川上善兵衛氏
「日本のワインの父」と呼ばれる人物。新潟県上越市大字北方字岩の原(当時は越後国頸城郡北方村)に明治元(1868)年に、大地主の長男として生まれる。少年期から、雪国の農民が常に洪水や冷夏におびやかされ、冬になれば豪雪そして出稼ぎに行く姿に心を痛めていた。
そんな折に知ったのがワインづくりという新しい産業でした。川上は早速先進地、山梨へと向かいブドウ栽培とワインの醸造方法を学び、農場に住み込んで実習を重ねた。帰郷するとすぐに先祖伝来の庭園をつぶして9品種を植えました。明治23(明治1890)年、23歳の時でした。
しかし、4年後に出来上がったワインは決して満足のいくものではなく、発酵や温度管理の未熟さが原因であることを思い知らされました。諦めきれない川上は、石蔵を造り、その隣に雪室を造り雪を貯蔵し、ブドウを発酵させる秋になると石蔵に雪を入れました。低温長期発酵を試みたのです。そして、発酵用の桶も雑菌が入らないように改良したものを採用しました。
こうした工夫の末、岩の原ワインは各地の博覧会などで高い評価を受けるようになり、次第に名声を得るようになりました。この石蔵は現在でも岩の原葡萄園のシンボルとして大切に保存されています。
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生産者:岩の原ブドウ園
生産地:新潟県>上越市
住所:〒943-0412 新潟県上越市大字北方1223番地
TEL:025-528-4002
URL:http://www.iwanohara.sgn.ne.jp/ (直接注文・可 見学施設・有)
使用品種:マスカット・ベリーA
アルコール度数:12.0%
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